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しぶんぎ座流星群射点位置とその移動(データはIMOによる)。 |
流星群仕事始め… しぶんぎ座流星群(しぶんぎ群)は、毎年だいたい仕事始めの朝に極大を迎える群で、8月のペルセ群、12月のふたご群と並んで、「3大流星群」と称されます。その出現数は当たればHR=100に迫るものです。が、当たりはずれの大きい群でもあります。その理由は、もともとピーク時の出現数の変動が大きいことに加えて、ピークが鋭いことにあります。そのため、観測可能な時間にピークを迎えるかによって、出現数は大きく左右されます。というわけで、はずれたときは、HR=20にも満たない、なんて事もあります。また、極大夜以外の出現数もわずかに過ぎません。しぶんぎ群の流星の特徴は、やや速い、やや明るい、とやや控えめです。輻射点は北斗七星の柄の先の方、りゅう座とうしかい座の境界辺りにあって、0時前には昇り(高緯度地方では沈まない)、明け方に最も高くなります。そのため、明け方が観測に適しています。
しぶんぎ座… そんな星座、星図のどこを探しても見つかりません。それもそのはず、しぶんぎ座は現存していません。なのになぜ、いつまでも「しぶんぎ群」と呼ぶのか? 答えは「ややこしい」からです。しぶんぎ群を現在の星座名で呼べば、「りゅう座流星群」。しかし、「りゅう座流星群」はもう1つあるのです。それは、10月のジャコビニ群です。そのため、1月のこの群は「しぶんぎ群」または「りゅう座ι流星群」、一方10月のは「ジャコビニ群」または「りゅう座γ流星群」と呼ばれます。
しぶんぎ群の母天体はまだ特定されていません。しかし、候補がないわけではありません。マックホルツ第1周期彗星(96P/Machholz1)がそうです。現在の軌道はかけ離れていますが、過去にさかのぼると良く似た軌道になるらしいです。7月のみずがめ座δ流星群、さらには6月のおひつじ群(昼間群)も、この仲間に入るようで、これらは「しぶんぎ群複合体」と呼ばれています。
しぶんぎ群が終わると、流星の世界も厳しい冬に突入します。この後は4月のこと群まで主だった流星群はなく、散在流星の数も少なくなります。というわけで、普通の人には、流星観測もシーズンオフとなります。その意味からは、しぶんぎ群は「仕事納め」と言ってもいいかもしれません。
〔L!b〕