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こと座流星群射点位置とその移動(データはIMOによる)。 |
突発大出現! こと座流星群(こと群)は、時として大出現を見せる群です。その数当たればHR=100! しかもその突発には規則性がありません。ですから毎年、「今年はひょっとしたら…」という楽しみがあります。そんなこと群、普段はHR=10程度の出現を見せます。流星の特徴は、やや速い、痕を残す、です。輻射点はこと座の西、ヘルクレス座との境界あたりにあり、21時くらいに昇り、明け方に天頂付近に達します。そのため、夜半後が観測に適しています。
こと群の母天体は、サッチャー彗星(C/1861 G1)です。この彗星、周期が420年ほどと計算されていて、主要流星群の中では最も周期の長いものです。このように長い周期の彗星から定常群へと発展するには、非常に長い時間がかかります。その意味ではこと群は、「老齢な」流星群といえるでしょう。
突発の起こる年に規則性のないこと群ですが、突発の起こる「時間」は過去の記録では良く一致します。その時間は太陽黄経32.1°付近(地球の公転周期は365.24…日で端数があるため、流星の世界では時間軸に太陽黄経(=太陽の位置)を用います)。ということは、この時間にこと群が観測可能でなければ、突発が起きても見ることはできない…と。こう考えると、こと群の突発を捕らえるチャンス(太陽黄経32.1°を観測できる年)はだいたい4年に1回ということになります(4年に3回は昼間だったり地球の裏側だったりで観測できない)。ちなみに日本では次回は2003年です。もちろん、4年に1回の年に突発が起きる保障はありません(というより、過去の突発歴を顧みると起きる確率はかなり低い)し、突発が起きる時間が今後も必ず太陽黄経32.1°付近である保障もありませんが…
〔L!b〕