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ふたご座流星群射点位置とその移動(データはIMOによる)。 |
安定多数! ふたご座流星群(ふたご群)は、毎年安定して、多くの流星を見せる群で、1月のしぶんぎ群、8月のペルセ群と並んで「3大流星群」と称されます。その出現数は、もはやペルセ群をも凌ぎ、年間最大の群といえるでしょう。近年では、条件が整えばHR=100にも達するほどです。かように、数においては華々しいふたご群も、その特徴は、どちらかというと地味です。速くもなく遅くもなく、そう明るくもなく、痕もあまり残らない。淡々と流れるといった感じです。輻射点はふたご座頭部、カストルの辺りにあり、ほぼ一晩中地平線上に出ていますが、夜中の2時頃、天頂付近を通ります。従ってほぼ一晩中観測できますが、午前2時頃を中心とする夜中が観測に適しています。
ふたご群の母天体は小惑星パエトン(3200 Phaethon)です。これは、小惑星が流星群の母天体となっている唯一?の例です。ふたご群の母天体は長らく謎でした。ふたご群の流星物質の軌道は周期が1.6年ほどで、他に例を見ない短周期です。当時(現在でも)発見されていた最も周期の短い彗星はおうし群の母天体でもあるエンケ彗星(2P/Enche)で、周期3.3年ほどです。そんな短周期の彗星あるのか? そんな中、小惑星1983TB(=パエトン、1983TBは発見時の仮符号、3200は小惑星の登録番号)が発見されます。その軌道はふたご群とそっくりでした。しかし、新たな発見は新たな疑問を生みます。パエトンはもとから小惑星だったのか?(干からびた彗星のなれの果てでは?)。その答えは現在まだ出ていません。
ふたご群は、軌道の変化によって21世紀には出現しなくなるといわれていました。しかし、ついに21世紀を迎えた今、その出現数は衰えるどころか益々増えている感があります。もともとふたご群は新しい流星群で、20世紀初めにはHR=10程度のさほど大きくない群でした。しかしその後出現数は暫増し、現在に至っています。果たして今後ふたご群は本当に出現しなくなるのか? …どうやら当面は大丈夫のようです。
〔L!b〕