■しし座流星群観測報告
ついにこの日がやってきました。流星雨が現実のものとなった2001年のしし群。全国的に天気にも比較的恵まれたようで、非常に多くの人が流星雨を堪能したことでしょう。そして…マスコミが騒ぐ天文現象はポシャるというジンクスも見事打破粉砕してくれました(笑)。こんな流星雨、私が生きてる間には(日本では)もうないかも知れません。来年、アメリカに行きたいなあ… では2001年のしし群をふり返ってみましょう。
■観測結果
観測地: |
竜天天文台公園(岡山県赤磐郡吉井町) 標高470m
東経134°00′18″ 北緯34°53′26″ |
観測者: |
L!b |
観測方法: |
眼視計数観測(天頂方向) |
日付 |
開始 |
終了 |
分 |
全 流 星 |
散 在 |
し し |
お う し |
お う し 北 |
お う し 南 |
う み へ び |
い っ か く じ ゅ う |
最微 |
雲量 |
2001年11月 |
|
14/15 |
1:20 |
2:20 |
60 |
25 |
13 |
4 |
7 |
1 |
5 |
1 |
- |
6.4 |
0.0 |
2:20 |
3:20 |
60 |
19 |
9 |
3 |
3 |
2 |
1 |
4 |
- |
6.4 |
0.0 |
3:20 |
4:20 |
60 |
33 |
17 |
7 |
7 |
2 |
4 |
2 |
- |
6.4 |
0.1 |
4:20 |
5:20 |
60 |
24 |
16 |
4 |
1 |
1 |
0 |
3 |
- |
6.4 |
0.3 |
15/16 |
3:15 |
4:00 |
45 |
25 |
16 |
3 |
4 |
1 |
2 |
2 |
- |
6.0 |
0.6 |
4:20 |
5:30 |
70 |
24 |
15 |
5 |
2 |
1 |
1 |
2 |
- |
6.0 |
0.4 |
16/17 |
1:20 |
2:18 |
58 |
21 |
10 |
5 |
4 |
2 |
1 |
2 |
- |
6.3 |
0.8 |
2:50 |
3:27 |
37 |
15 |
11 |
3 |
1 |
0 |
0 |
0 |
- |
6.3 |
1.6 |
17/18 |
0:00 |
0:40 |
40 |
10 |
7 |
0 |
3 |
2 |
1 |
0 |
- |
6.3 |
0.3 |
18/19 |
23:30 |
0:30 |
60 |
43 |
9 |
30 |
4 |
2 |
2 |
0 |
- |
6.3 |
0.0 |
0:30 |
1:30 |
60 |
150 |
5 |
143 |
1 |
1 |
0 |
1 |
- |
6.3 |
0.0 |
1:30 |
3:00 |
55 |
456 |
9 |
443 |
4 |
0 |
1 |
0 |
- |
6.3 |
1.7 |
3:00 |
4:00 |
60 |
1781 |
16 |
1765 |
2 |
0 |
0 |
0 |
- |
6.3 |
0.0 |
4:00 |
5:00 |
60 |
696 |
10 |
683 |
2 |
0 |
0 |
1 |
- |
6.3 |
0.3 |
5:00 |
5:30 |
30 |
220 |
4 |
214 |
2 |
0 |
0 |
0 |
- |
6.3 |
0.0 |
19/20 |
0:00 |
1:15 |
65 |
37 |
18 |
10 |
9 |
5 |
4 |
0 |
- |
6.1 |
1.2 |
1:25 |
2:30 |
65 |
41 |
13 |
20 |
7 |
1 |
3 |
1 |
- |
6.1 |
0.6 |
2:30 |
3:30 |
60 |
36 |
11 |
20 |
5 |
2 |
3 |
0 |
- |
6.2 |
0.0 |
3:30 |
4:30 |
60 |
33 |
10 |
19 |
2 |
1 |
0 |
2 |
- |
6.2 |
0.0 |
4:30 |
5:30 |
60 |
34 |
14 |
16 |
3 |
0 |
0 |
1 |
- |
6.1 |
0.0 |
20/21 |
1:30 |
2:30 |
60 |
35 |
18 |
7 |
6 |
2 |
4 |
3 |
1 |
6.3 |
0.0 |
2:30 |
3:30 |
60 |
31 |
16 |
9 |
6 |
0 |
2 |
0 |
0 |
6.3 |
0.0 |
3:30 |
4:30 |
60 |
34 |
14 |
9 |
3 |
1 |
1 |
5 |
3 |
6.3 |
0.0 |
4:30 |
5:30 |
60 |
27 |
15 |
8 |
1 |
1 |
0 |
3 |
0 |
6.3 |
0.0 |
合計 |
|
1365 |
3850 |
296 |
3430 |
89 |
28 |
35 |
33 |
4 |
|
※Nov 18/19 1:30-3:00は、2:05-2:25, 2:35-2:50で35分中断。
※Nov 19/20 0:00-1:15は、0:50-1:00で10分中断。
|
しし座流星群のHR(1時間あたりの流星数)をプロットしたもの。 |
■10分ごとのHR
日付 |
開始 |
終了 |
分 |
しし |
HR |
最微 |
雲量 |
2001年11月 |
|
18/19 |
23:30 |
23:40 |
10 |
3 |
18 |
6.3 |
0.0 |
23:40 |
23:50 |
10 |
4 |
24 |
6.3 |
0.0 |
23:50 |
0:00 |
10 |
5 |
30 |
6.3 |
0.0 |
0:00 |
0:10 |
10 |
5 |
30 |
6.3 |
0.0 |
0:10 |
0:20 |
10 |
3 |
18 |
6.3 |
0.0 |
0:20 |
0:30 |
10 |
10 |
60 |
6.3 |
0.0 |
0:30 |
0:40 |
10 |
14 |
84 |
6.3 |
0.0 |
0:40 |
0:50 |
10 |
17 |
102 |
6.3 |
0.0 |
0:50 |
1:00 |
10 |
17 |
102 |
6.3 |
0.0 |
1:00 |
1:10 |
10 |
28 |
168 |
6.3 |
0.0 |
1:10 |
1:20 |
10 |
37 |
222 |
6.3 |
0.0 |
1:20 |
1:30 |
10 |
30 |
180 |
6.3 |
0.0 |
1:30 |
1:40 |
10 |
45 |
270 |
6.3 |
0.0 |
1:40 |
1:50 |
10 |
46 |
276 |
6.3 |
0.0 |
1:50 |
2:00 |
10 |
46 |
276 |
6.3 |
2.5 |
2:00 |
2:10 |
10 |
38 |
228 |
6.3 |
4.4 |
2:10 |
2:20 |
10 |
37 |
222 |
6.3 |
8.9 |
2:20 |
2:30 |
10 |
72 |
432 |
6.3 |
4.3 |
2:30 |
2:40 |
10 |
63 |
378 |
6.3 |
6.0 |
2:40 |
2:50 |
5 |
42 |
504 |
6.3 |
6.6 |
2:50 |
3:00 |
10 |
206 |
1236 |
6.3 |
2.1 |
3:00 |
3:10 |
10 |
320 |
1920 |
6.3 |
0.0 |
3:10 |
3:20 |
10 |
341 |
2046 |
6.3 |
0.0 |
3:20 |
3:30 |
10 |
355 |
2130 |
6.3 |
0.0 |
3:30 |
3:40 |
10 |
309 |
1854 |
6.3 |
0.0 |
3:40 |
3:50 |
10 |
214 |
1284 |
6.3 |
0.0 |
3:50 |
4:00 |
10 |
226 |
1356 |
6.3 |
0.0 |
4:00 |
4:10 |
10 |
175 |
1050 |
6.3 |
0.0 |
4:10 |
4:20 |
10 |
136 |
816 |
6.3 |
0.0 |
4:20 |
4:30 |
10 |
117 |
702 |
6.3 |
0.1 |
4:30 |
4:40 |
10 |
82 |
492 |
6.3 |
0.5 |
4:40 |
4:50 |
10 |
86 |
516 |
6.3 |
0.9 |
4:50 |
5:00 |
10 |
87 |
522 |
6.3 |
0.1 |
5:00 |
5:10 |
10 |
85 |
510 |
6.3 |
0.0 |
5:10 |
5:20 |
10 |
66 |
396 |
6.3 |
0.0 |
5:20 |
5:30 |
10 |
63 |
378 |
6.3 |
0.0 |
5:30 |
5:38 |
8 |
53 |
398 |
5.8 |
0.0 |
合計 |
|
363 |
3483 |
|
※2:40-2:50は、2:41-2:46で5分中断。 |
11月18/19日のしし座流星群の10分ごとのHR(1時間あたりの流星数)をプロットしたもの。 |
■観測日記
●11月14/15日
いよいよ2001年のしし群観測始動! そろそろ極大に向け、出現数が多くなってくる頃です。しかし今夜はなかなかいい空です。極大夜にとっておきたいなあ。さて、肝心のしし群、HR=5くらい、ですがしし群だなあという流星がぽつぽつとでていて、気分も盛り上がってきます。+今夜は永続痕の残る火球(ただし散在)も出現。散在で永続痕みたのは初めてのような気が…
●11月15/16日
今夜はちょいと雲に邪魔されて2時間弱の観測。空もイマイチ抜けが良くないです。 そんな空に比例してか、しし群の数もイマイチ伸び悩み…ですが、質的には◎。今夜 は-4等永続痕30秒のしし群火球が出ました。まあ、欲を言えば天頂に出て欲しかった とこですね。
●11月16/17日
通常極大前夜。天気予報はいいんですが、今夜もかなり雲が邪魔邪魔です。とりあえず48時間後の晴天を願って、今夜の流星の流れたときのかけ声は「ハレハレハレ!」(笑)。けど、出てから言ったんじゃやっぱ遅いんで、とにかくず〜っと「ハレハレハレ」と言っていたら、2つヒットしました。これで当日の晴天は約束されたでしょう(笑)。天気予報も好転したことだし。さて肝心のしし群、増えてきたなあと言う感じです。早い時間帯の観測なんで、図ではそうは見えませんが。
●11月17/18日
通常極大夜。今日は天文台は月1の公開講座で、テーマはもちろん「しし群」。その夜半前の観望会中、継続時間が6〜7秒ある流星が出現。思わず「晴れろ晴れろ……」と8回ほど唱える(昨日からこればっか^ ^;)。しかし夜半後からの観測、私が☆ミに託した願いは儚くもナムナムぶりゅー氏の登場によって潰える… えっと、雲間から見た今夜のしし群、HR=30〜40くらいでしょうか? …そして、運命の夜は迫る!
●11月18/19日
ついに待ちに待ったこの日がやってきました。流星雨が現実ものもとなった当日の様子、ドキュメンタリー風にいってみましょう。
◆18:30
天文台到着。なにやら裏管理人がアライグマになってる… どうやら自分の手をチーズフォンデュにしたらしい… 合掌。それはさておきとりあえず腹ごしらえ。そうこうしているうちに18:55。
「今頃アメリカではどうなってるんだろう?」
◆20:00
裏管理人の火傷の応急処置を終え、ぼちぼち準備開始。今夜は他にも屋上で張る人がいるので、なんだか機材がいっぱい… カメラ何台あるんだ? とりあえず配置を決め、セッティング開始。ちなみに私はI.I.+CCDで輻射点方向流し撮り+音声に眼視記録のスタイルです。
◆22:00
セッティングほぼ終了、ちょっと一息。と、そこにアメリカの情報が。10分80個、HR換算480! よし! 来るぞ来るぞ!!!
◆23:00
そろそろ輻射点の出、ということで屋上に。しばらくすると最初のしし群の流星が。
「流れた!………ぉぉおおおおおおお〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」
経路長150°くらい、継続時間8秒くらい、まさに全天を二分する見事な「水切り火球」でした。これを皮切りにしし群の流星が出始める。
◆23:30
観測開始。ぽつぽつと見えるしし群、まだ0時も回ってないので大気への突入角度が非常に浅く、どれもこれも軒並み長経路で継続時間5秒以上。こういう流星って見応えありますよね。
◆0:30
観測開始から1時間。ここまででしし群HR=30。予想を上回るペースの出現に「来てるよ来てるよ〜〜〜!!!」。
◆1:00
◆1:30
さらに出現数は増え、多いときには1分間に10個くらいに。通常の記録が追いつかなくなり始める。というわけで、流星雨モード(光度、痕)に移行。表管理人とぶりゅー氏はオリオンをターゲットに写真を撮っているが、やはりというか、見事にそこを避けて流れる流れる。「もっと右!」とか「もっと下!!」とか「2秒早い!!!」とかの叫びが… そしてぶりゅー氏、流星寄せに『念』を込めはじめる。「ハアァァァ………」
◆1:50
◆2:00
雲襲来! ナムナムぶりゅー氏の念に引き寄せられたか!?
「じゃまだ〜〜〜! ンな時に来るな〜〜〜〜〜!!!!!」
呪詛の限りを尽くすが、居座り続ける雲… しかしそのわずかな隙間にも次々と流星が。
◆2:25
そろそろ1つ目のピーク。多少雲の少なくなった空に10個弱/分くらいのペース。しかし雲、再び増え出す。
◆2:40
◆2:50
雲、取れはじめる。と共に、流星数爆発的に増加! 毎分数10ペース。光度をとるのもつらくなってきたのでついに流星嵐モード(ひたすらカウント)に移行!
◆3:00
再び快晴。そして我々の前には夢にまで見た(文字通り、夢で見ました^ ^;)流星雨が…イキテテヨカッタ。地平線方向を見ると… そこには1999年にビデオで見た光景がそのまんま。地平線方向の方が流星数、天頂方向より遙かに多いですね。理屈では判っていたけどこうも如実に視覚的に判るのは、明るい流星の多いしし群(の流星雨)だからですかねえ。
◆3:20
流星雨、最高潮に。ゆっくりと流れるおうし群の流星をしし群の流星が2つ、キの字に串刺しにしたり、一度に10個近くの流星が螺旋状に次々と現れたり… ここまでいっぱい流れるともう何も考えられませんね。隣で野鳥の会している表管理人はカウンタを押す指がつりそうになってる様子。そういえば、この時間になって暗い流星が多くなっている気が…(←何も考えられんのと違うんか?)
◆4:00
多少落ち着いてきたかな?という感じ。けど、誰かが「落ち着いてきたかな?」というと「なんの!」と言い返すかのようにわらわらと出るしし群。なんだか再び暗いものが少なくなった気が…
◆4:25
だんだん落ち着いてきたしし群、そろそろ流星雨モードへ復帰。
◆5:08
この日見た中で1番の火球(-8等)出現。その後永続痕が肉眼で10分以上見え続けてました。
◆5:30
そろそろ薄明で観測の限界に近づく。まだまだ続く出現。う〜ん、ここでポーズかけて明日に続きをとっておきたいなあ^ ^;)。
◆5:38
◆その後…
明るくなる空にまだまだ流れる流星。そんな中起きあがってぼちぼち片付けなんてしていたとき、薄明るくなっていた地面?にパアッとさす自分の影。とともにまだ空を見ていた小野君の叫び声。
「オウワ〜〜〜ォォ」。
推定-10等の大火球。はっと空を見上げると、そこには藍空をバックに黄金色に輝く痕がくっきりと残っていました。おそらく痕の高さではすでに夜明けを迎えていて、日の光が当たっていたことでしょう。
というわけで、2時台に雲の来襲でどうなることかと思われましたが、間一髪、ピークは快晴の下で迎えることができ、流星雨を堪能することが出来ました。こんな体験、一生のうちでもう2度と体験できないかも知れませんが、そうですね… 年1くらいで起きてくれたらいいのになあ(でもそうするとありがたみが薄れるか^ ^;)。
●11月19/20日
ついに夢の流星雨を現実のものにしてくれたしし群、あとは見送るばかりになりました。今夜は早い時間の方が残り火が強いかな…?というわけで、いつもより早めの0時から観測開始。…昨日から引き続き活動が衰えていっているのが判ります。HR=20といえばオリオン群の極大並の活動なんですけど、昨日のアレを見ているから…ねえ。
●11月20/21日
極大前はあれほど雲に悩まされていたのに… 流星雨が過ぎて「どーでも良くなった」とたん、連日の晴天です。しし群の活動もHR=1桁まで落ちました。お祭りも終わりですね…
というわけで、長年のあこがれだったしし群の流星雨をついにこの目で見ることが出来ました。次なる目標は… なんにしよう…
なお、しし群の流星雨ですが、来年がラストチャンス! ただしアメリカ&満月です。そして30年後は… 期待できないかもという話がちらほら。というわけですので、日本にいる限り、今年が一生に一度きりのチャンスだった可能性が………モウイチドミタイナ………
〔L!b〕