■夏の流星群観測報告
今年も夏がやって参りました。言わずと知れた流観の季節、到来です。今年はペルセが月に食われる分、みずがめ群が条件良いです。そこそこ数が出る割に注目されない、不遇なみずがめ群にもスポットを当ててみましょうか。
ところでこのみずがめ群の極大を観測できたら、この1年間全主要群(人によって主要群の線引きは違うが)の極大を観測したことになるような気が… 我ながら良くやるというか、さすが晴れの国岡山って言うか…
ペルセの極大も過ぎ、満月も迎えたと言うことで、やっと一段落、ここらで簡単にふり返ってみましょうか。
■観測結果
観測地 A |
竜天天文台公園(岡山県赤磐郡吉井町) 標高470m
東経134°00′18″ 北緯34°53′26″ |
観測地 B |
邑久観測所(岡山県邑久郡邑久町) 標高130m
東経134°10′38″ 北緯34°39′54″ |
観測地 C |
オリーブ園(岡山県邑久郡牛窓町) 標高166m
東経134°09′ 北緯34°37′ |
観測者: |
L!b |
観測方法: |
眼視計数観測(天頂方向) |
日 付 |
場 所 |
開 始 |
終 了 |
分 |
最 微 |
雲 量 |
全 流 星 |
ペ ル セ ウ ス |
み ず が め δ
|
み ず が め ζ
|
や ぎ α
|
み ず が め ι
|
散 在 |
2000年7月 |
|
26/27 |
A |
0:00 |
1:00 |
60 |
5.9 |
0.0 |
16 |
1 |
4 |
2 |
2 |
0 |
7 |
1:00 |
2:00 |
60 |
5.8 |
0.3 |
14 |
2 |
1 |
1 |
1 |
0 |
9 |
2:15 |
3:00 |
45 |
5.3 |
0.2 |
14 |
2 |
2 |
0 |
0 |
0 |
10 |
3:00 |
3:50 |
50 |
4.9 |
0.0 |
10 |
1 |
0 |
1 |
1 |
1 |
6 |
29/30 |
B |
3:10 |
3:45 |
35 |
6.3 |
1.4 |
18 |
3 |
4 |
0 |
0 |
0 |
11 |
30/31 |
C |
0:00 |
1:00 |
60 |
6.2 |
0.3 |
31 |
2 |
10 |
1 |
5 |
2 |
11 |
1:00 |
2:00 |
60 |
6.3 |
0.3 |
37 |
9 |
8 |
2 |
2 |
0 |
16 |
2:00 |
3:00 |
60 |
6.3 |
0.0 |
35 |
5 |
6 |
0 |
1 |
0 |
23 |
3:00 |
3:55 |
55 |
6.2 |
0.0 |
41 |
6 |
8 |
3 |
2 |
0 |
22 |
31/1 |
C |
0:00 |
0:30 |
30 |
6.2 |
0.5 |
15 |
0 |
2 |
3 |
2 |
0 |
8 |
1:10 |
2:20 |
70 |
6.3 |
0.9 |
32 |
6 |
5 |
4 |
2 |
0 |
15 |
2:20 |
3:30 |
70 |
6.2 |
1.7 |
42 |
8 |
9 |
0 |
2 |
0 |
23 |
2000年8月 |
|
1/2 |
C |
23:40 |
0:30 |
50 |
6.0 |
1.0 |
19 |
1 |
5 |
3 |
1 |
0 |
9 |
1:10 |
2:10 |
60 |
6.2 |
1.0 |
25 |
4 |
2 |
1 |
2 |
1 |
15 |
2:55 |
4:00 |
55 |
6.2 |
1.0 |
35 |
3 |
3 |
3 |
0 |
0 |
26 |
3/4 |
A |
0:00 |
1:00 |
60 |
6.2 |
0.0 |
30 |
2 |
4 |
6 |
2 |
0 |
16 |
1:00 |
2:00 |
60 |
6.3 |
0.0 |
43 |
11 |
4 |
6 |
1 |
0 |
21 |
2:00 |
3:00 |
60 |
6.3 |
0.0 |
33 |
6 |
5 |
4 |
1 |
0 |
17 |
3:00 |
4:00 |
60 |
6.3 |
0.0 |
44 |
10 |
4 |
3 |
3 |
1 |
23 |
4/5 |
A |
0:00 |
1:00 |
60 |
6.2 |
0.0 |
31 |
2 |
4 |
6 |
2 |
0 |
17 |
1:00 |
2:00 |
60 |
6.3 |
0.0 |
33 |
9 |
5 |
6 |
3 |
0 |
10 |
2:00 |
3:00 |
60 |
6.4 |
0.0 |
28 |
10 |
2 |
0 |
0 |
1 |
15 |
3:00 |
4:00 |
60 |
6.4 |
0.0 |
36 |
9 |
4 |
3 |
1 |
0 |
19 |
5/6 |
A |
0:00 |
1:00 |
60 |
6.2 |
0.0 |
40 |
8 |
5 |
2 |
2 |
2 |
21 |
1:00 |
2:00 |
60 |
6.2 |
0.0 |
26 |
7 |
3 |
2 |
0 |
0 |
14 |
2:00 |
3:00 |
60 |
6.2 |
0.0 |
32 |
8 |
2 |
3 |
0 |
2 |
17 |
3:00 |
4:00 |
60 |
6.2 |
0.0 |
31 |
6 |
3 |
4 |
1 |
0 |
17 |
6/7 |
A |
0:00 |
1:00 |
60 |
6.1 |
0.0 |
32 |
5 |
4 |
2 |
2 |
2 |
17 |
1:00 |
2:00 |
60 |
6.2 |
0.0 |
34 |
8 |
2 |
3 |
1 |
0 |
20 |
2:00 |
3:00 |
60 |
6.2 |
0.0 |
31 |
15 |
3 |
0 |
1 |
0 |
12 |
3:00 |
4:00 |
60 |
6.3 |
0.0 |
36 |
11 |
3 |
4 |
0 |
0 |
18 |
9/10 |
C |
0:15 |
1:00 |
45 |
5.7 |
1.3 |
14 |
4 |
1 |
2 |
1 |
0 |
6 |
1:00 |
2:00 |
60 |
6.2 |
1.2 |
24 |
7 |
2 |
2 |
0 |
0 |
13 |
2:00 |
2:50 |
50 |
6.1 |
1.8 |
22 |
7 |
5 |
1 |
1 |
0 |
8 |
3:15 |
4:00 |
45 |
6.0 |
0.4 |
28 |
15 |
1 |
1 |
0 |
0 |
11 |
10/11 |
A |
0:00 |
1:00 |
60 |
5.3 |
0.0 |
25 |
9 |
2 |
1 |
1 |
1 |
11 |
1:00 |
2:00 |
60 |
6.2 |
0.0 |
29 |
13 |
1 |
1 |
2 |
1 |
11 |
2:00 |
3:00 |
60 |
6.4 |
0.0 |
43 |
22 |
0 |
2 |
1 |
0 |
18 |
3:00 |
4:00 |
60 |
6.4 |
0.0 |
46 |
24 |
2 |
2 |
1 |
0 |
17 |
11/12 |
A |
2:10 |
3:00 |
50 |
6.2 |
0.0 |
35 |
23 |
0 |
0 |
0 |
0 |
12 |
3:00 |
4:00 |
60 |
6.4 |
0.0 |
74 |
45 |
3 |
2 |
0 |
1 |
23 |
12/13 |
A |
0:00 |
1:00 |
60 |
4.7 |
1.5 |
11 |
9 |
0 |
0 |
0 |
0 |
2 |
3:00 |
3:35 |
35 |
5.8 |
0.3 |
26 |
20 |
0 |
0 |
0 |
0 |
6 |
13/14 |
A |
0:40 |
1:10 |
30 |
4.5 |
3.2 |
4 |
3 |
0 |
0 |
0 |
0 |
1 |
合計 |
|
2455 |
|
1305 |
381 |
143 |
92 |
50 |
15 |
624 |
■みずがめ座δ流星群
みずがめ座δ流星群とみずがめ座ζ流星群のHR(1時間当りの流星数)をプロットしたもの。 |
δ系とι系は別物ということで区別し、δ系は南北群(δ群とζ群)に分けてみました。とはいえ、輻射点は接近しているので、単点眼視計数観測では完璧な判定は望むべくもありません。というわけで、多分に不確実さが残るという前提のものに…
従来言われているように、δ群は7月末、ζ群は8月初旬に極大という結果になりました。このため7月中はδ群が圧倒的に優勢、8月にはいると両群が拮抗といった感じで、全体的にはδ群が優勢という結果になりました。
ι系は… たまたまこの辺りから出る散在流星の存在を考えると、群の存在自体がぁゃιぃ状況です。まあ、δ系にワリを食っている可能性もありますが…
■やぎ座α流星群
やぎ座α流星群のHR(1時間当りの流星数)をプロットしたもの。 |
7月末辺りに多少活発だったようです。全体的にはHR=1〜2といった活動でした。残念ながら火球は(私の観測では)見られませんでした。
■ペルセウス座流星群
ペルセウス座流星群のHR(1時間当りの流星数)をプロットしたもの。 |
極大に向かって順調に増えていきました。いろいろ悪条件が重なったため、最大HRが極大前夜のHR=45にとどまったのは、ちょっと寂しい数字でしょうか。
■観測日記
●7月26/27日
日本全国順調に梅雨も明け、いよいよ観測スタート。…って台風来てるじゃん… ま、それはともかく今夜は一応晴れ、月も細くなり、みずがめ群の極大も迫ってきました。そろそろ数も多くなっているだろうと、記録装置を付け、計数観測スタート。…なんかあんまり出てませんけど… 雲は出るわ月は出るわ霞は出るわでどんどん条件悪くなるし、3時台には(この時期だというのに)みずがめδ群HR=0! なんかノーヒットノーランでも食らったような気分…
●7月27/28日
早速台風の(遠い)余波で天気悪し… 危うし? 主要群極大連続観測記録(←そんなんあるんか?)
●7月28/29日
中国山地の南斜面にあるここ竜天は、山を駆け上がる気流が雲を生み、夏場の晴天率がちと芳しくないようです。今日も低い雲がでろでろと垂れ込めております。
●7月29/30日
今日も竜天は雲の中。海岸近くなら晴れてるかもな〜、と思い未明に南に下ると…晴れてる。というわけで、1時間でも観測しようと第2の?観測地邑久まで足を延ばす。いろいろあったが、何とか35分間観測しました。×××のお兄さん、ありがとう(←意味ほぼ不明 ^ ^;)。
●7月30/31日
今日も海岸近くなら晴れると踏み、牛窓町へ(邑久は昨日で懲りた)。予想通り、ばっちりの晴天でした。空の状態も非常によろしく、いい感じ…なんですが、観測場所に選んだところが吹きっさらしで風の強いこと強いこと(蚊と対決せずに済んだのは良かったけど)。みずがめ群はまあこんなもんとして、ペルセ群がこの時期にしては多いような気が…
●7月31/1日
天気予報は絶望的なこと言ってますが、結構晴れそうな気が… というわけで、昨夜の場所にGo。ん、晴れてますねえ、観測開始。今夜は風が非常に穏やか(昨夜比)な為、蚊の襲来に悩まされる。さらに30分たって観測成立したところで雲、襲来。その後は蚊と雲との戦いとなる。こんな時は「豊蚊(ゆたか)な自然」なんて破壊してしまいたくなりますねえ。
●8月1/2日
今日も昨夜と同じような天気。雲の居ぬ間に流星観測、というわけで準備が終了次第0時を待たずに開始。今日は蚊取り線香が効いてるのか、蚊が少な目(竜天の屋上だと余り蚊が出ないのでつい準備を怠っていた)。流星の方は、さすがにδ群は減ってきましたね。一方ζ群はそろそろ極大でしょうか?
●8月2/3日
今夜の収穫
火球:1個
流星:9個
以上。(解説:要するに天気悪かった)
●8月3/4日
ようやく岡山地方も安定した夏の空がやってきました。竜天も今夜は快晴、空の条件も上々、M33が肉眼で見えます。流星数も全部ひっくるめてHR=30〜40で、探り書きが忙しいです。やっぱりペルセがちょっと多いような気が…(あの辺りもペルセ以外はカオスだからなあ)。観測終了後、ふと東に目をやるとふたご座の下、地平線近くに見慣れぬ星(0等)が… 水星と気づいたのは1分ぐらい後でした。
●8月4/5日
なんだか最近、えらく良い空続きです。今夜も最微は6.4等をマーク。M31ってあんなに大きかったのね。おかげで今夜も忙しいこと(一度メモリ不足に陥ったし)。こんな時は記録装置を付けたいもんだが、付属の記録装置、実は観測装置専用ではないため、現在他からの入力によってパンク状態、観測装置からの信号を受け付けてくれません。
●8月5/6日
今夜は昨夜までに比べると1ランクダウンの空。ですが、大物を2つゲット。2つとも-6等ほどのペルセの火球、思わず「おぉ〜」と声が出てしまいました。一方みずがめ群、δ群に続きζ群も極大を過ぎ、数が減ってきたようです。そろそろ主役は南(みずがめ群)から北(ペルセ群)に交代ですね。
●8月6/7日
今夜は空良くなったり悪くなったり…といっても常に6等はクリアしてるんだから、贅沢な話か。ペルセは順調に?増加中。対照的に南の各群はいずれも元気がなくなってきました。今夜は残念ながら、火球は無し。やぎ群の火球、見たいなあ。
●8月7/8日
雲に翻弄される。結局有効な観測はできずじまい。1つ、木星も見えない雲の中を流れた流星があったなあ。
●8月8/9日
最近、ストーカーにつきまとわれてて困ってます。とってもしつこいんです、彼女。追っ払っても追っ払っても来るんです。彼女の名前は、もす・きいと。えっ?そんな駄文はいいから観測? はい、軽〜く雲にあしらわれました。
●8月9/10日
いよいよ極大が目前に迫ってきました。…と同時に月明かりが観測時間に食い込んできました。今夜は竜天を放逐?されて、牛窓での観測です。えらい湿度が高い夜で、空の条件も悪く…と思ったが、それでもほぼ6等見えてたのね。観測終了時には髪はぐっしょりと濡れてました。
●8月10/11日
観測開始直前になって急速に晴れ、雲1つない良い天気。月が沈むにつれ最微も急速に良くなり、最高クラスの空になりました(ここんとこ多いけど)。探り書きで地獄を見るかと思いましたが、何とか耐えられました。秒単位で時間取ってるとこの辺が限界ですね。さてペルセ、HR=20に乗ってきました。
●8月11/12日
極大前夜。とはいえ、極大は昼間だし夜明け前の闇夜の長さから、今夜が今年のペルセ最大の山場かと思っていましたが………フフフフフ………ちゃ〜んと晴れましたよ。イヤ、南海上を北上する夏台風にあるまじき速度で進んでくる9号のせいで夕方から雲がかかり始めたときには、こりゃあかんと半ば諦めていたのですが、見事、月没に合わせて晴れてくれました。空も上々、火球もバシバシで、良い夜でした。今夜はビデオで記録。こんなに晴れるのなら、I.I.かまして画像も取っとけば良かった…(←でもこの気合いの抜け具合が晴天を呼んだのかもね)。
●8月12/13日
やってきました極大日。しかし、心に体と空がついてきません。余りのヘロヘロ感に、「どうせ今夜はいっぱい見てる人居るだろう&ハイライトは夜明け前」と、メンテナンスモードに。1時間半ほどメンテした後観測再開…どうも応急修理じゃダメみたい… それでも月没がきて暗くなっていっぱい飛び始めると、多少調子が出てきました。しかし同時に雲も出てきました… というわけで、何とも(-''-)な極大夜でした。
●8月13/14日
極大日、過ぎました。暗夜も去りました。前2夜もいろんな人と見ていたのですが、今夜ももうじき配備予定?の「次期主力観測装置」JAY君にメテランの小野君とのその友人、そして記録装置と、なかなかにぎやかな観測に。しかし、イマハチ(10点満点)な空の下、得られた結果は、寂しい限りでした。
■おまけ
極大前夜、ぶりゅーさんと一緒の観測にて。
L!b |
「流れた」 |
ぶりゅーさん |
「Shoot」 |
L!b |
「○○から××」←出現位置を音声入力 |
ぶりゅーさん |
「ええ? ××ですかぁ?」 |
L!b |
「はい、××の△△の辺りに見えたんですけど」 |
ぶりゅーさん |
「私は◇◇と見たんですけど…なんだか位置がズレてますねえ。
きっと視差ですね、今の流星は近いところを流れたんでしょう」 |
L!b |
「この距離(5mもない)でこれだけ視差が出るなんて、
滅茶苦茶近い流星ですねえ…」 |
〔L!b〕