■しし座流星群観測報告
異国の空で、ピークを迎えてしまって、思わずがっかりのしし座流星群だったのですが、19日未明、流星雨とまではいきませんが、HR=100近い出現が観測されました。
■観測報告
観測地: |
竜天天文台公園(岡山県赤磐郡吉井町) 標高470m
東経134°00′18″ 北緯34°53′26″ |
観測者: |
L!b |
観測方法: |
眼視計数観測(天頂方向) |
日付 |
開始 |
終了 |
分 |
最微 |
雲量 |
全流星 |
しし |
HR |
ZHR |
1999年11月 |
|
5/6 |
2:05 |
3:20 |
75 |
5.8 |
0.7 |
25 |
4 |
3.2 |
13 |
6/7 |
1:00 |
2:00 |
60 |
6.2 |
0.6 |
33 |
3 |
3.0 |
25 |
2:00 |
3:00 |
60 |
6.2 |
0.0 |
31 |
4 |
4.0 |
14 |
3:00 |
4:00 |
60 |
6.1 |
0.0 |
37 |
3 |
3.0 |
7 |
4:00 |
5:15 |
75 |
6.1 |
0.2 |
45 |
7 |
5.6 |
10 |
7/8 |
1:45 |
2:45 |
60 |
6.0 |
0.9 |
15 |
3 |
3.0 |
15 |
9/10 |
1:00 |
2:00 |
60 |
6.1 |
0.0 |
25 |
1 |
1.0 |
7 |
3:00 |
4:00 |
60 |
6.1 |
0.0 |
32 |
5 |
5.0 |
11 |
4:00 |
5:20 |
80 |
6.1 |
0.0 |
32 |
5 |
3.8 |
6 |
10/11 |
1:00 |
2:00 |
60 |
6.1 |
0.0 |
22 |
1 |
1.0 |
6 |
2:00 |
3:00 |
60 |
6.1 |
0.0 |
30 |
2 |
2.0 |
6 |
3:00 |
4:00 |
60 |
6.1 |
0.3 |
20 |
5 |
5.0 |
11 |
4:00 |
4:30 |
30 |
6.0 |
0.3 |
15 |
4 |
8.0 |
15 |
12/13 |
1:00 |
1:55 |
55 |
6.3 |
0.0 |
24 |
3 |
3.3 |
17 |
2:25 |
3:25 |
60 |
6.3 |
0.0 |
34 |
7 |
7.0 |
16 |
3:25 |
4:25 |
60 |
6.3 |
0.0 |
48 |
6 |
6.0 |
10 |
4:25 |
5:25 |
60 |
6.3 |
0.0 |
33 |
5 |
5.0 |
7 |
13/14 |
1:00 |
2:00 |
60 |
6.2 |
0.0 |
23 |
2 |
2.0 |
10 |
2:00 |
3:00 |
60 |
6.2 |
0.0 |
29 |
2 |
2.0 |
6 |
3:05 |
4:05 |
60 |
6.1 |
0.0 |
24 |
4 |
4.0 |
8 |
14/15 |
2:10 |
3:10 |
60 |
6.1 |
0.2 |
34 |
9 |
9.0 |
24 |
15/16 |
1:00 |
2:00 |
60 |
6.3 |
0.3 |
27 |
5 |
5.0 |
23 |
3:30 |
5:00 |
60 |
5.9 |
0.8 |
25 |
9 |
9.0 |
17 |
16/17 |
1:00 |
2:00 |
60 |
6.2 |
0.3 |
22 |
4 |
4.0 |
18 |
3:00 |
3:55 |
55 |
6.1 |
0.4 |
35 |
14 |
15.3 |
30 |
4:00 |
4:30 |
30 |
6.1 |
0.2 |
22 |
12 |
24.0 |
38 |
18/19 |
0:10 |
1:00 |
50 |
5.6 |
0.0 |
25 |
16 |
19.2 |
229 |
1:00 |
2:00 |
60 |
6.1 |
0.0 |
55 |
44 |
44.0 |
186 |
2:00 |
3:00 |
60 |
6.3 |
0.0 |
115 |
92 |
92.0 |
209 |
3:00 |
4:00 |
60 |
6.3 |
0.0 |
112 |
96 |
96.0 |
156 |
4:00 |
5:00 |
60 |
6.3 |
0.0 |
113 |
97 |
97.0 |
128 |
5:00 |
5:30 |
30 |
6.2 |
0.0 |
37 |
27 |
54.0 |
68 |
19/20 |
2:30 |
3:30 |
60 |
6.2 |
0.0 |
29 |
15 |
15.0 |
29 |
3:30 |
4:30 |
60 |
6.3 |
0.1 |
47 |
18 |
18.0 |
26 |
4:30 |
5:30 |
60 |
6.2 |
2.0 |
25 |
10 |
10.0 |
16 |
20/21 |
3:30 |
4:30 |
60 |
6.1 |
0.0 |
29 |
8 |
8.0 |
12 |
4:30 |
5:30 |
60 |
6.1 |
0.0 |
26 |
9 |
9.0 |
12 |
合計 |
|
2160 |
|
1355 |
561 |
|
|
しし群のHRとZHR(光度関数1.6で計算)をプロットしたもの。 |
せっかく14夜も観測したので、HRデータの垂れ流しだけではもったいない?というわけで、少しばかり他のデータも見てみましょう。表にはしし群の流星の平均光度と有痕率を表しています。
日付 |
平均光度 |
有痕率 |
流星数 |
6-11 |
3.30 |
19.2% |
47 |
13-16 |
3.19 |
26.9% |
52 |
17 |
2.93 |
30.0% |
30 |
19 |
1.87 |
71.7% |
372 |
20 |
2.63 |
48.8% |
43 |
21 |
2.94 |
23.5% |
17 |
最も活発だった19日は1.87等で最も明るく、離れるにつれて暗くなっています。
流星の素は彗星から放出された塵で、大きな塵ほど明るい流星になります。この大きな塵は、小さな塵に比べれば当然重いので、彗星から放出されるときのスピードが遅そうなことは直感的に想像できます。ということは、彗星(軌道)のそばからなかなか離れない。というわけで、極大(=彗星軌道に近い)では明るい流星が多くなります。これは流星群に一般的に見られる傾向です。
一方、流星痕は、一般に速くて明るい流星ほど良く見られます。同じ流星群に属する流星は対地速度(地球にぶつかる速度)がほぼ一緒なので、明るいほど良く痕が見られることになります。上の表でも、平均光度が明るいときほど有痕率が高くなっています。それにしても、70%を超える有痕率は、驚異的ですね。
■観測日記
●11月4/5日
月も細くなったので、いよいよしし群の観測を始める。…が、開始後20分で曇天… そして、薄明まで後わずかとなった頃、再び快晴… 見事なまでのピンポイントな雲だった。
●11月5/6日
初日からケチが付いたので、仕切直し。…が、5分で曇る。それでも粘って、何とか75分だけ観測になった。
●11月6/7日
今夜は天文台は無人(裏管理人帰宅)。どーせ曇るならこーゆー不便なときに… と思ってると、えてして晴れるモンです。当初予定の4時間に薄明までのおまけ15分を付けて255分、見てきました。しし群もHR=3〜5。確実に活動しています。
●11月7/8日
今夜も天文台は無人。しかも天気は下り坂の予定。持つか持たないかの瀬戸際だが、とりあえず行ってみる。観測開始…即曇る…再開…また曇る… それでも何とか60分観測してきました。
●11月8/9日
●11月9/10日
天気は上々。今夜は記録装置付きの観測なので、HR=100でも安心。…が、観測装置の方の調子がいまいち。メンテナンス(仮眠とも言う)のため1時間のブランクを挟んで、200分の観測となる。
●11月10/11日
LINEAR (C/1999 J3) 関連群を翌日に控え?、その動向も気になる今夜。記録装置は原稿やら後悔講座やらに追われているため、また一人で探り書きです。さて、LINEAR関連群、予想輻射点方向からの流星はHR=0〜2といったところで、あるのかないのかよく解らない状況。明日は天気、だめそうだなあ…
●11月11/12日
●11月12/13日
午前中は雨。しかし天気は急速に回復とのことなので、天文台に上る。夜半頃にはばっちり晴れ、雨後で透明度も上々。LINEAR関連群はやっぱりあるのかないのか解らない状況。一方しし群は、少し数が増えてきたかなといった感じです、暗いけど。
●11月13/14日
当初、1時〜薄明の観測を予定していたのですが、ネタリンの大量分泌により、晴天ながら4時台の観測の途中でリタイア。結局3時間の観測に…。
●11月14/15日
1時から観測態勢にはいるが、突如として曇る。曇天のもと鬱々(正しくはうつらうつら)と過ごすが、2時ごろから奇跡的に天候回復、1時間だけ観測。その後、また曇る。明るいしし群流星が増えた気がする。
●11月15/16日
気圧の谷通過により、日中は雨。今夜はだめかと8割方諦めていたら、夜になって晴れてきました。というわけで、天文台にGO! うなる風、吹き飛ぶ雲(1分で視野内の雲総入れ替え)の中、何とか2時間分、観測できました。しかし、流観中に水の雨は降ってほしくないなあ…
●11月16/17日
極大前夜。去年の今頃は雲の上を火球がいっぱい飛んでいたんだなあ…などと思いを馳せつつ観測する。今夜も冬型の天気のため、雲の襲来に悩まされ、145分の細切れ観測となるが、いよいよ増えてきました、しし群。さて、明日の天気や………如何に?
●11月17/18日
「気合いを入れて準備すると曇る」の格言?通り、日本全国みな曇天だったようで… みんな気合い入りまくってたんですねえ(涙)。しかし!ジャコビニ群の例(去年8時間早く、今年8時間遅い)からすると、今年のしし群は明日の未明が極大だ!(←どーゆー根拠やねん…)。
●11月18/19日
遠い異国の空ですでに極大を迎えてしまったしし群。昨夜、雲越しにも不活発だったのはまさに「嵐の前の静けさ」だったのね… それはともかく、今夜はうって変わって快晴、少しばかりの期待とともに0時過ぎから観測開始。 ………しし群の長経路の流星、結構飛んでるような気が……… そして、輻射点が上り、月が沈むに連れて、流星数は急増、2時台にはHR=100ペースに。「おおぉ… 日本ではほんとに今夜だった。」 しかしその後は輻射点は高くなれど流星数は変わらずで、活動自体は下降線の様子。そして5時半を回り、星々は、薄明の空へと溶けていったのでした。ところで今朝のしし群、妙に粒ぞろいだったと感じたのは私だけでしょうか?
●11月19/20日
1日ズレたけど、日本でもなかなかの活動を見せてくれたしし群、後は終息に向けて減っていくのを見送るだけ?です。活動も、残り火といった感じになってきました。
●11月20/21日
日に日に大きくなる月に観測時間は追いやられ… しし群の観測も今朝でとりあえず終了の予定です。活動もHR=1桁にまで落ちました。さよならしし群、また(再)来年!
〔L!b〕