■みずがめ座η流星群観測報告
結局いまひとつの出現数だったみずがめη群ですが、11/12日に少しだけ状況に変化がありました。月明かりの影響のなくなった11/12日早朝、最微も抜群、観測開始前の1時台から群流星がちらほら飛んでおります。
などと、呑気に考えておりましたが、いざ観測を始めてみますと2:00〜2:20の間に群流星6個を記録。
「ん〜!? いくらなんでも、飛びすぎじゃないか…。
このペースだと、HR*1=18だゾ。
しかも、この時点での輻射点高度は、約10度。
て〜ことは、ZHR*2に換算すると…」
ピコピコピコピコ… チ〜ン!!!
ZHR=400!
と、期待を膨らませて待つこと数十分。輻射点高度が高くなるにしたがって、異常な数のみずがめη群の流星が東の空から西の空にむけて、漆黒の闇に浮かぶ天の川の淡い光芒を横切ってぇぇぇ…
…流れない。
全然普通の出現数。2時台前半のあの勢いはどこへいってしまったのか。ちなみに、その後13/14,14/15日の観測でも、ごく普通の出現数でした。そんなこんなで、みずがめη群の観測結果報告です。
*1 HRとは、1時間あたりに換算した流星数のことです。
*2 ZHRとは、雲量=0,最微等級=6.5という抜群に条件のいい空で、流星群の輻射点が天頂にあるという抜群に都合のいいところで観測したならば、このくらい流れるだろうという計算によって補正されたHRのことです。ただし、輻射点高度が低い場合には、過剰に補正されて有意な値が求められないため、通常適用しません。
■観測結果
観測地: |
竜天天文台公園(岡山県赤磐郡吉井町) 標高470m 東経134°00′18″ 北緯34°53′26″ |
観測者: |
L!b |
記録者: |
藤原貴生(6, 7, 8, 9, 12日) |
観測方法: |
眼視計数観測(天頂方向) |
日 付 |
開 始 |
終 了 |
分 |
最 微 等 級 |
雲 量 |
全 流 星 |
み ず が め η |
さ そ り α |
う し か い α |
こ と α |
散 在 |
1999年5月 |
|
5/6 |
2:00 |
3:00 |
60 |
4.9 |
0 |
8 |
0 |
0 |
0 |
0 |
8 |
3:00 |
4:00 |
60 |
4.8 |
0 |
8 |
5 |
0 |
0 |
0 |
3 |
6/7 |
2:00 |
3:00 |
60 |
5.6 |
0 |
9 |
2 |
0 |
0 |
0 |
7 |
3:00 |
4:00 |
60 |
5.5 |
0 |
10 |
4 |
0 |
0 |
0 |
6 |
7/8 |
3:00 |
4:00 |
60 |
5.3 |
0 |
11 |
4 |
1 |
0 |
0 |
6 |
8/9 |
2:00 |
3:00 |
60 |
5.5 |
0 |
11 |
2 |
1 |
1 |
0 |
7 |
3:00 |
4:00 |
60 |
5.4 |
0 |
10 |
4 |
0 |
0 |
0 |
6 |
11/12 |
2:00 |
3:00 |
60 |
6.1 |
0 |
20 |
10 |
0 |
0 |
1 |
9 |
3:00 |
4:00 |
60 |
6.0 |
0 |
19 |
5 |
1 |
0 |
1 |
12 |
13/14 |
1:50 |
3:00 |
70 |
6.1 |
0 |
18 |
3 |
0 |
0 |
2 |
13 |
3:00 |
4:00 |
60 |
5.9 |
0 |
23 |
3 |
0 |
0 |
2 |
18 |
14/15 |
1:50 |
2:50 |
60 |
5.8 |
0 |
13 |
2 |
0 |
0 |
0 |
11 |
2:50 |
3:50 |
60 |
5.8 |
0 |
20 |
3 |
2 |
0 |
3 |
12 |
合計 |
|
790 |
|
180 |
47 |
5 |
1 |
9 |
118 |
観測時間は5月5/6〜8/9日および11/12,13/14,14/15日の7日間の明け方2:00〜4:00の2時間です。7/8日の朝だけは、2時台に雲に邪魔され3時台だけの1時間の観測です。また、13/14日の2時台は、1:50〜2:00の10分間のおまけつきで70分の観測、14/15日は、薄明開始時刻が早まってきたのにあわせて観測時間を10分間シフトして1:50〜3:50までの観測です。
11/12日までは、専用記録装置の藤原がついて二人で観測を行っていたのですが、13/14,14/15日の観測は、L!b氏一人で探り書きにて行っています。
ηみずがめ群以外の流星群は、さそりα群とうしかいα群とことα群がちょびっとだけでてます。
■さそり座α流星群
さそりα群の流星を見たL!b氏曰く、
「なんじゃありゃ! え〜と、ナメクジみたいな流星」
「なんですか? それ」
「痕だけ流れているような感じで、ナメクジのような面積体が、こうゾゾゾと…」
「ゾゾゾ???」
数こそ少ないですが、なかなか味わい深いさそりα群の流星でした。
■こと座α流星群
また、ことα群の流星は11/12日以降の観測で計数されていますが、ことα群は微光な流星であるため8/9日までは最微等級の悪さで捕らえられなかったものと考えられます。観測されたことα群の流星の等級はいずれも4等もしくは5等級で、平均等級は4.9等でした。
とは、観測終了後のL!b氏のコメント。
■その他
さてさて、この時期南方から飛んでくる流星といえば、αさそり群に代表される南方の黄道系の流星なのですが、これらとは異なる南方から飛んでくる高速の流星がいくつかみられました。黄道系の流星は遅い速度が特徴なのですが、それらとは明らかに異なる速度の高速な流星でした。ん〜、なんなんでしょうねえ?
■火球報告
火球を(L!b氏が)見たので報告しておきます。記録の藤原は見れませんでした。とほー。
日付 |
時刻 |
等級 |
群 |
速さ |
痕 |
色 |
出現星座 |
備考 |
5/6 |
4:00:13 |
-4 |
散在 |
遅い |
3秒 |
金 |
ペガスス |
火の粉をまき
散らした感じ |
■おまけ
ぼけ〜っと夜空を眺めておりますと、午前3時をまわるころから、急に人工衛星の数が増えてまいります。最近は、日の出がすっかりはやくなってしまいまして、観測終了の4時には、東の空がかなり明るくなってしまいますが、衛星軌道上では、3時には、一足お先に日の出を迎えているようです。
とくに何というわけではないのですが、観測時間中に藤原が見た人工衛星の数です。
日付 |
人工衛星 |
5/6 |
3 |
6/7 |
4 |
7/8 |
3 |
8/9 |
5 |
11/12 |
5 |
〔文: 藤原貴生〕